2014年1月31日金曜日

南インドの玄関でいきなりつまづく

コルカタの飲み仲間アレックスと一旦別れて列車で約8時間南に下ったプーリーに移動した

宿は決まっていた。日本人宿のサンタナ

なぜ日本人宿を避けてる俺がわざわざプーリーのサンタナを狙い撃ちしたかと言うと、理由は二つある

まず一つは破格の宿泊費。よく覚えてないけど確か200ールピ前後?あれ150だったっけ?に、朝食と夕食が含まれており、更に一日に2回チャイのサービスまでついているのだ

他の宿と比べても宿泊費が破格な上に食事がついていて、その上日本食が食べれるのだ、聞いてるだけでよだれが垂れてしまった

もう一つの理由はインドやネパールにチェーン展開するサンタナ宿、その本家本元がここらしくて、既に数十年の歴史があるのだとか。そこに興味が沸いてしまったのもあるし、3ヶ月近く日本語を喋っていなかったので、ちょっとだけ日本語が恋しくなっていたってのも手伝ったのかもしれない

チェックインするとまずはどこの部屋がいいか自由に選べる。ドミトリーか個室にするか。おもしろいのがどこの部屋にしても料金は一律。普通はドミトリーの方が個室より安いんだけど、ここはどこも同じ料金。俺はドミトリーが嫌いなのでベッドが二つある個室を選んだんだけど、満室になると他の客とシェアして使ってもらうことになるとの事だった。成る程上手くできいる

到着したのがまだ朝だったので、荷物を部屋に放り投げて鍵をかけたら、そのままビーチに出かけた

プーリーは南インドの入り口のような町で、気候は北インドとそうは変わらない。昼間は日本の初夏くらいの蒸し暑さで、夜は少し冷え込み半袖だと肌寒い程度。ACがなくてもすごし易い気候といえる

宿の裏は漁村を挟んですぐにビーチになっており、そのビーチ沿いにゲスハウスが並んでいる。そのゲストハウスの数がこの街の価値を示していると言ってもいいかもしれない。サンタナはそのゲストハウスの一番端っこに位置しているのだ

ビーチに行くために漁村を抜けると早速うっとおしい子供が写真写真とせがんでくるいつも通りのパターン。追い払いたいとこだけど自分も子供だったころはもっと酷いがきだったらしいので写真くらいは撮ってやるが、3歩歩くたびに次から次へと新しいガキが登場する。あいにく俺は鶏ではない、3歩歩いたら忘れると思ってるこいつらは俺を見くびりすぎである。更にはそこにどさくさに紛れて大人まで混じってくるのだから、最終的には全て無視することになるのだ
            




漁村自体は台風が来たらすぐに吹っ飛んでしまいそうな小汚い家屋、と言うよりは小屋が建ってるだけだが侮ってはいけない
                  


           
というのも、それこそ昔は海の魚は不浄のものとして普通のインド人は食べなかったので、獲った魚は自分達で食べるだけで、中々現金収入につなげるのが難しくて、大変貧しい暮らしを強いられていたらしいのだ

それが今では、南インド人は普通に魚を食べるようになったので村も少しずつ潤いだし、モーター付きの船を導入してからは、貯金する奴まで出てきたらしい。つまり、漁村の見かけ自体はスラム街のバラック同様貧乏臭が漂っているが、その実なかなか羽振りはいいらしい。それが本当にここ最近の話。だからあと10年もするとこの漁村も姿を変えているかも知れない

そしてこのビーチ最大の問題が排泄物の処理。わかりやすくいうとうんちだ!!


上の写真を見るとわかるとおり、大人子供関係なく皆ビーチで糞をしている。ビーチにしゃがんでる奴がいたら間違いなくうんこだ

うっかりしてると踏んでしまうくらいビーチはウンコだらけ。そのうんこだらけの砂浜に海から引き上げた網を広げて魚をより分ける漁師達
                

俺も気をつけてビーチを歩いていたんだけど、踏んでしまった。どういうわけかサンダルの中に何かが入ってきた。。。もしかしたらウンコじゃなくてただ泥が入っただけかもしれないと思って臭いをかいで見るとまるでウンコのような臭いがするではないか!!どこをどうやったらサンダルの中にウンコの臭いのする泥が入ってくるのか、理解に苦しみはしたものの、幸い目の前に海のように大きなトイレがあったのでそこに足を突っ込んでとりあえず難は去った

ウンコを避けつつ、モンスターを倒し、竜王を倒しバラモスを倒してようやく裏の世界に到達、それから一キロほど歩くと今度はウンコビーチから普通のインド人ツーリストでごった返すビーチへと到達

波が泥を巻き上げ海は全然青くない、この茶色は本当に泥なのだろうか?と、思うととても足すらつける気にならない。だってさっきのウンコビーチの隣だし、仕切りがあるわけじゃないし・・・・

写真写真とせがんで来るインド人を完全に無視して(大人は容赦なく無視します)更にビーチを進むと、今度はビーチ沿いにメインストリートが寄り添うように続いていた。

砂の上を歩くのも疲れたのでメインストリートを歩くと、道路の反対側に大きなビルに囲まれた空き地があって、この暑いのに人々が焚き火をしている。それも一箇所ではなく空き地のいたる所で火を焚いて棒の様な物で焚き火をつついている

何かの儀式でもやってるのだろうかと思った俺は、確認するために空き地に入っていった

焚き火を遠目から見ると、焚き火の中からごぼうのようなものが2本飛び出していた。ごぼうのバーベキューでもやっているのだろうか?っていうか、インドでごぼう見たの初めてだぞ

更に近づいていくと、そのごぼうには毛が生えていて、九の字におれて焚き火から飛び出している。ごぼう・・・確かうっすらだけど毛が生えてるよな。でもごぼうって指とか生えてったっけ?

そのごぼうには人の足のように先っちょは靴の形をしており、そこには5本づつ指が生えているのだ。まるで人の足のようなごぼうだ・・・じゃなくてごぼうのような人の足だった・・・・・

ごぼうのバーベキューじゃなくて人のバーベキューか・・・「先生!!ここで人間焼いてる人がいまーーす!!」と、叫びそうになったが、よくよく考えるとここは火葬場なのかもしれない

しかし、これは不意打ち過ぎる。ごぼうのバーベキューかと思っていたのもが人のバーベキューだったのだ。ショックを受けすぎた俺は気分が悪くなってそのまま宿に引き返した

次の日は宿で酒を買えるというので、朝から前日の続きとして迎え酒を胃に流し込んでたらあっという間に一日が終わってしまった。プーリーの郊外にはいろいろと観光スポットがあるんだけど、一人で行くのも億劫だったので友達が来るまでは宿の周辺しか出歩かなかった

そう、実はこの宿に後から来ることになっていたアレックスを呼んでいたのだ。安くて食事が付くという話をしたら泊まりたいと、俺が日本人しかいないし、そういう雰囲気だけど大丈夫かと確認しても、泊まりたがっていたので呼んだのだ

ちなみにサンタナ宿は基本外人は宿泊できないけど、泊り客の友達に限り国籍関係無しに宿泊できるとの事だった

俺が宿泊してる時期のサンタナの客は何か目的ややることを持っている人が多かった

ボランティアに来てる子、言語を習いに来てる子、スモーキングに来てる子、そうじゃない宿泊客は数日滞在してとっとと次の街に行ってしまうので、俺の事を終日相手にしてくれる人はいない。それだけにアレックスの到着が待ち遠しかった

アレックスは到着すると早速ウンコビーチへと一人で出かけていった。おもしろいので特にウンコに関する情報は提供しなかった

数十分後に帰ってくると予想どおり「Fu○k fu○k fu○k」を連発、「海はキタねーしビーチの50%は糞で構成されてるし、ガキはペンをよこせってうるせーし 最悪だったぜ」と文句を糞のように垂れ流していた


サンタナでは朝食 夕食のほかに有料でランチを頼む事ができる。このランチがまたガチの日本の家庭料理なのだ。値段は大体の料理が一皿80~150ルピー。その他にもスパゲッティやピザとか日本で一般的に食べられてる料理がかなりバリエーション裕に取り揃えられており、味は冷静に判断すると普通なのだが、海外で日本食を真似した偽日本料理を食べなれた俺からしてみると、舌鼓を打たざるを得なかった

アレックスも敢えてイタリア料理や他の洋食を避け、俺にお勧めを尋ねてから日本食をすすんで食べていたが、かなり気に入ってた模様だった。アレックスは基本的に美味しくない物を美味しいというタイプではないので

他にも俺が気に入っていたのは刺身だ。これはスーパーの特売で売っているような冷凍マグロなんかよりよっぽど美味しい。そのかわりその刺身を食べるときだけは、ウンコビーチの存在を頭の中から消去する必要があった

他にも宿の設備としては、有料のホットシャワーやランドリーマシーンの使用、酒やつまみ、ちょっとした日用品は全て宿からでず買える様になっているのだ。そしてその購買システムが日本伝統の無人販売のようになっていて、シャワーを使ったり、何か売り物を取ったりした場合その後に、壁に貼ってある表に自分の名前と内容を記入する自己申告制になっている

こんなやり方で誰かちょろまかしたりする奴はいないのだろうかと疑問はあったが、俺もアレックスもせっせと毎日表に記入してたし、いちいち小銭を用意する必要がなく面倒くさくないので、宿の外に出にくくなる原因となっていった

アレックスは基本的に自分からどっかに行こうと誘ってくることは無かったが、俺の誘いにはいつもついて来る。酒の誘いはのぞいてだが。

なぜ飲み友達のアレックスが俺ののみの誘いを断っていたかと言うと、コルカタに一人でいる間に痔を患ったらしいのだ。メールで英語で痔になったと送られてきた時に英語の横にかっこで痔と漢字が添付されてるのを見たときは思わず飲んでいた紅茶を霧のように噴出してしまった

他にもプーリーに滞在中は郊外の世界遺産や、少し離れたビーチに夕陽を眺めに行ったりと毎日少しずつ観光を消化していった。そして帰るときにアレックスは必ず「俺たちの日本人ハウスに帰ろう」という。相当気に入ってるらしく、誰が教えた訳でもないのに日本語も少しずつ覚えている

サンタナにいるアレックスをみてるとまるで日本でホームステイしている外人のように見える

こうして長居するつもりは無かったのだが、列車のチケットが中々取れないのと、居心地の良さが手伝って滞在は一日一日と長引いていったのであった

そして滞在も一週間を数える最後のよる、アレックスと同じ滞在客の日本人女子アユミことボストンを誘って3人でナイトマーケットに出かけた

なぜボストンかと言うと、ナイトマーケットに行くときにボストンがよれよれのボストンと正面にでかく書かれたパーカーを着てきて、それをアレックスが大声でボストンと読み上げて以来彼女の名前はボストンに改名されたのだ

ナイトマーケットはリキシャで10分程度。ナイトマーケットが近づいてくると、遠くの方に見えるビーチが夜の空港の滑走路のようにみえた。屋台の白い照明が誘導灯のように無数に並列に並び、見えなくなるくらいまで続いていりる。今にも飛行機が飛び立つ音が聞こえてきそうだったが、近づくにつれて聞こえて来る音は、人々の話し声や笑い声物売りが声を張り上げるまさに祭りの音

よく英語で全然違うと言う時に「It's like night and day」と表現するが、正に昼と夜の違いは砂漠に忽然と現れたパラダイスのようで、昼間は何も無かった少し広めのビーチに、今は無数のみやげ物屋やフード屋台が軒を連れねて賑っている

ボストンは早速土産をあさり出し、俺とアレックスはただ冷やかすだけ

「日本人女子は買い物がすきなんだよ」「イタリア人女子も同じだよ、世界中一緒だろ」と言っていたアレックスがペンを束で売っている店の前で足をとめた

1ダースからのペンを取って値段を聞いてるアレックスをみてピンと来た。実はアレックスは文句をいいつつも毎日のようにウンコビーチに一人で通っていたのは知っていた

「ははーん、お前さてはそれ漁村のガキ共にせがまれて買ってやろうと思ってんだろう??」「いや・・・別に。結構高いんだな、他で探すよ」とそれ以上は何も言わずペンの束を元に戻した。きっとこっぱずかしんだろうな、じぶんのキャラと合わない事をすると

ビーチの赤茶けた砂を踏みしめながら露店の間を更に進むと、そこには少し小さめな観覧車があった。他にも遊園地お馴染みのちょっとしたミニアトラクションンのような物が5種類ほど稼動してた
               

しかし、様子がおかしい。観覧車が動き出したかと思うと、富士急のアトラクションン、ドドンパのような勢いで加速をはじめぐるぐる回り始めた。回るというよりはぶん回すという表現の方がしっくり来る。回ってるのを目で追ってるだけで目が回る

それを見ていると乗ってみたくなるというのが男である。男でなくとも乗ってみたくなるだろうという事で、3人でチケットを買い乗り場に並ぶ


結婚前の男女は一緒に乗れないとの事で男2人俺とアレックスは同じボックスに突っ込まれ、ボストンは知らんインド人家族と一緒に乗ることになった

観覧車が動き始めたかと思うとものすごい加速をはじめ、頂点に達した瞬間にケツがすこし浮き上がった、かと思うと今度は急に落下を始める



しかも驚く事に、いや、インドだから別に驚きはしないけど、ボックスにはベルトも無いしドアも閉まらないし、柵が低いので頂点に到達する瞬間にしっかり手すりにつかまってないと振り落とされかねない。一年に数人は死んでるであろう事は容易に予測できる

しかも長い。5分が過ぎても止まる様子がない。気持ち悪い・・・アレックスはもはやF○ckとcrazyしか言わないし

頂点に達するたびに祭り会場の全貌が望める。ああ、空港の誘導灯みたいだー、と思っていると急に落下をはじめ地面がぐんぐん近づいてきて、地面を舐めるようにそったかと思うと、今度は祭り会場とは逆方向に上昇を始め、あー月だー、と思っているとまた急下降を始める

観覧ってなんですか?

ぐるぐる回されすぎて、そろそろお迎えが来たかなーと思う頃にようやく停止

降りると様子のおかしな人が一人。顔を真っ青にしてうつむいて言葉をはっしないゾンビことボストンが立っていた。その姿があまりにもゾンビのようだったので、あやうく火炎放射器で燃やしてしまうところであった

そしてその超即観覧車の向こうにこれまた様子のおかしなフライングカーペットが稼動していた

普通のフライングカーペットの動きに加えて、更にぐるぐると指先で回転するコインのように勢いよく平行に回っている

俺「あれ乗ろうぜ」アレックス「えーマジでぇーー  まぁいっか 乗るか」ボストン「私もう無理です、ここで待ってるんで2人だけで行ってきていいですよ」2人「OK わかった」

俺とアレックスはチケットカウンターに行き、3人分のチケットを買った

日本人はこういうのに弱いのだ。俺のついだ酒が飲めないってのかよ、と、言う勢いでボストンにチケットを渡し、半強制的に3人で乗車。チケットを見た瞬間に更にボストンの顔が青くなったような気がしたが、多分気のせいだろう

ブーと言う音とともにフライングカーペット+αは勢いよく回転し始めた。まるで回転寿司になったような気分だ・・・誰か乾いてカピカピになる前に俺を召し上がってくれ・・・・

カラカラになる直前にようやく停止。ボストンはまるで朝から晩まで誰も食べてくれる人がいなかった寿司のように水分が抜けきって、ほぼミイラ化。言葉すら忘れてしまったようだ。胃の内容物をかけられるのが嫌だったので、少し離れておいた

その後ビーチの波打ち際で水を飲んで休憩。アレックスの日本語「さあ、行こう」の言葉と共に俺たちは家路に着くのであった

あーープーリー楽しかった

次はいよいよ本格的な南インド、ハンピに向うため中間の街ハイデラバードまで電車で24時間の旅です



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