あまりにも寒いので俳句を作りました
ダージリン ああダージリン ダージリン
まずは寒さ対策について
標高2000Mを超える今のダージリンの気温は恐らく真冬の東京くらい。どんなに姿勢のいい人でも自然と猫背になるような気温だ
東京くらいと聞くと大した事無さそうだが、想像してほしい。日本の冬に暖房を入れていないレストランやカフェ、ホテルがあるだろうか?特に北海道なんてやりすぎなくらい室内は暖房が効いているし、建物も寒さに強い様に窓は二重になっていたりドアは2枚ついていたりと、極寒の地に住む人達の知恵が最大限に生かされている。真冬の北海道の居酒屋で半袖で酒を飲んでたのは記憶に新しい
しかし、ここはダージリンとは言えどインド。何をするにしたって日本の五分の一以下のお金できてしまう。そんな場所に無料で暖を取れる場所なんてある筈もない
日本なら外がどんなに寒くてもカフェに非難すれば暖を取れる、バスに乗っても電車に乗っても暖かい。寒いのは外を徒歩で移動するほんの一瞬に過ぎないのに対して、ダージリンはエアコンの効きすぎた24時間営業のコンビ二の様に常に寒い
特にここ一年常夏の東南アジアで過ごしてきた俺には堪える
そこで考えた寒さ対策と洗濯物対策がドライヤーである
マーケットで400ルピーで買ってきたヘヤードライヤー(800W)を部屋の中でつけっぱなしにしたり、布団に突っ込んで暖めたり。一番効果的なのは絨毯の床の上に置いて、風の出てるところに座り、膝の上にブランケットを乗せる。そうすると暖かい風がブランケットの中に溜まり、足はホカホカ、そのホカホカの空気がドライヤーの風によって押し出されて上まで上がってきて、更には体もホカホカになるのである
洗濯物もドライヤーで乾かす。濡れたTシャツの中にドライヤーを突っ込むと、風呂のドアを開けた時の様に大量の湯気が飛び出してくる、これがまた部屋を暖めてくれて一石二鳥である
ただ一つ、困ったことがある。パンツやズボンのゴム。これが中々乾かない
ある日無理やり乾かそうと思ってドライヤーに近づけ過ぎてパンツに穴が開いてしまった。しかも焦げて穴が開いたので穴の周りが茶色い・・・これではまるで・・・俺のアレはパンツも溶かすと思われかねない。人前でパンツ一丁になるのは暫くの間やめた方が良さそうだ
ほんとパンツのゴムなんて無ければいいのに。あっ 俺昔日記で間抜けな奴をゴムの切れたパンツのような奴と表現したのを今思い出したわ
そしてもう一つの悩みがシャワー。アジアの安宿のクオリティーだと水シャワーは当たり前。それでも今までいたような東南アジアでは水シャワーで十分だったし、インドのジャイサルメールのような砂漠地帯にもなると、水の出てくるシャワーを見上げながらホットシャワーなんて出てくるなよと思ったものだ
でもダージリンでは話が違う。流石に水シャワーを垂れ流しているホテルは殆どないが、ホットシャワーに関する対策はホテルによってまちまちなのだ
日本のように給湯器の電源を入れると無限に心地よい温度のお湯が供給されると思ったらそれは大きな間違いである
お湯の供給の仕方もいろいろあるが、一番一般的なのは電気式の給湯器。5リットルくらいのタンクに沸かしたお湯を溜めてから供給すると言うものだが、これが厄介なのだ
この寒さだと5リットル分のお湯が沸くのを電源を入れてから30分近く待たないといけない。更にはタンクにあるお湯を使い切ってしまうと、あっと言う間に水シャワーになってしまうのだ
いくら電源を入れっぱなしで使っていても、お湯の供給がリアルタイムに追いつかないのだ。なんともばかばかしいシステムであるが、これがアジア
タンクにもいろいろな大きさがあるが、安宿で使っているのは大体5リットルなので、シャワーを出しっぱなしで使うと5分も持たない。では止めながら使えるかというとそれは辛い。なんせこの寒さだ、シャワーを止めた瞬間に体は一気に冷えだす
ホテルによってはホットシャワーの使用時間が決められていて、時間を過ぎると電源を切られてしまう。電源を切られてもタンクに入ってるお湯はそのまま使えるのだが、なんとなく電源が入っていないと不安になるものだ
とに角この事を最初知らなかった俺は、何度もシャワーが途中で水に変わったり、一番酷かったのは水すら出てこなくなったときである
長風呂の静香ちゃんなら凍死確実
ホットシャワーの設備を整えてないホテルはバケツにお湯を入れて持ってきてくれるらしいが、それでどうやってホットシャワーを浴びればいいのやら、想像ができない
何はともあれドライヤーを買ったのは大成功だった。
山から帰ってきた次の日の夜、ダーラと食事をする約束をしていた
気が合うんじゃないかと思ってジェーンも連れて行ったんだけど、意外と話が弾まない
数分もすると2人とも俺に話しかけてくるので忙しくてしょうがないし、ジェンは結局途中でお腹一杯になったと言って帰ってしまった
協調性という概念を我々は知らない。 ダージリンにいる間ジェンとは昼ぐらいから合流して、観光する事が多かったんだけど、意外と一緒にいる時間は殆ど無い
ランチも食べたいものが違うと、わざわざ時間を決めて待ち合わせしてもすぐに分かれて別々のレストランで食事をしたり、買い物もどっちかが飽きると、いつの間にどちらかがいなくなっている
携帯電話が無いのではぐれると探すのが大変だし、俺もジェンもそこまで真剣に探したりはしない。小さな町なので適当に歩いてればどっかでばったり再開するからだ
ランチはジェンと、ディナーはダーラ、それにたまに地元の人と、その日以降こんなサイクルで一日一日を消化していく事が多かった
たまに日本人にも会うんだけど、「こんにちは」とお互い挨拶する程度で、それ以上話が弾むこともない。日本人だからって仲良くしなくてはいけない理由は何処にもない
例え言葉の壁が多少あっても、違う文化を知るほうが俺は楽しかった
ある日ダーラにフルートを聴かせたら、演奏の対価にビールをご馳走してくれた。実際ダージリンは寒くてフルートの音がちゃんと出ず、演奏は散々だったにも関わらず
そして彼女は言う「アイルランドの物価はインドに比べると大部高いわ、でも路上でフルート吹けば旅費位はすぐ溜まるわよ」 「それは俺も良く考えてる、でもインドでそういう文化はまだ浸透してないから試してないけど、アイルランドならいける?」
「アイルランド人はそういの大好きだから、お金稼げるわよ」 なるほど、ヨーロッパ行ったらやってみようと思ってたけど、実際どの程度受け入れらるのかわからなかったから多少の不安はあったが、やってみる価値はあるようだ
それに彼女が言うには、ギター弾いて歌を歌ったりするより、バイオリンやフルートを吹く方がアイルランドでは受けがいいらしい
よくよく考えると、ここまでの話は俺がアイルランドを訪れる事を前提で話が進んでいる。そこでさらに少しずうずうしいお願いをしてみた
「実は俺が旅で知り合った日本人バックパッカーの何人かはイングランドに入ろうとして、入国拒否されてるんだ。理由はよくわからないけど。やっぱアイルランドも同じくらい厳しいのかな?」
すると彼女は俺が言わんとしてることを察したのか「そうねアイルランドも同じくらい入国審査は厳しいわ、だからあなたが来るときは私がアイルランドでの保証人になってあげるわ」
「本当に??入国のフォームに名前とか書いていいの?」「もちろんよ、目的欄には友達に会いに来たって書いて、私の住所と電話番号を書きなさい、そしたら間単に入れるから」と言って、彼女は自宅と携帯に住所を書いたメモを俺に渡してくれた
「そして、アイルランドから陸路でUKに渡れば、いくらか入りやすくなるはずよ。もちろん私の家に何日でも泊まっていいわ。主人もトランペットとギターを弾くから喜ぶはずよ」 これはこの上のなく有難い申し出だった
ダーラ自身はアイルランドではヨガの先生をしていて、旦那さんは大学で陶芸科の教授をしている割と裕福な家庭のようだ。そして20歳の息子は大学を辞めて現在タイを旅行中なのだとか
アイルランドの人口は400万人程度で、その人口の半分がダブリンに住んでいる。貧富の差もインドや日本のように無く、全体を通して安定しているらしい。そしてお隣のUKとは大変仲が悪い
こんな事も旅に出て、実際にそこの国の人と話してみるまでは知らなかった
この旅ではなぜか、フランス人 ドイツ人 アイルランド人 中国人 と縁がある
文化は全然違うんだけど、なんとなく考え方が日本人に似ているような気がする。あくまでツーリストだけに限った話だけど。そしてある国の人とは旅先でも学校でも何回も関わっているのに、未だに友達になった事は無い。恐らく今後も無いだろう
そして同じ日にダーラはアイルランドに向けて、ジェンはブッダガヤに向けてそれぞれ旅立つ事が決まっていた。俺もそれに合わせるように、更に北を目指してダージリンを後にすることにした
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