2013年9月30日月曜日

ジャマタギ!!プシュカルトレック

プシュカルには簡単に登れる山が町の外れの南と北に一つずつあり、その頂上にはヒンドゥー教の寺院が祭られている

シーズンには町で祭りが開催され、山の寺院には多くのインド人観光局が押し寄せるのだとか。そして今がそのお祭りのシーズン。夕方から深夜にかけて町の中心地から外れにかけて、鐘や太鼓、人の歌や歓喜あまる叫び声が屋台のターリーの匂いと共に風にのって俺のホテルのルーフトップまで聞こえてくる

町の寺院に足を運べば、iphone発売日前日のようにインド人観光客の長蛇の列がみられる。これが聖地と呼ばれる町の威力なのだ

俺はサンセットとエクササイズのため、夕方からブラニーを誘って北の山に向った

登り1時間下りが45分程度のはずであった

俺もブラニーも靴を履き替えずサンダルのまま山に入ったが、下から頂上まで階段が整備されていたので、なんら問題はなかった。周りのインド人も裸足かサンダルだし

町の寺院と同じようにこちらも大渋滞。人の列が山道の先の見えなくなるところまで、まるで螺旋階段を目で追っているようにどこまでも続いている

そして下山してくる人とすれ違うときに向うが「ジャマタギ!!」と言ってくるので、こちらも同じように返すと向こうは嬉しそ顔をして喜ぶのである

意味はわからないがグリーティングの一種なのだろうか?

そしてお約束の写真撮影会

インド人観光客は外国人と写真を撮るのが一つのステータスになっているらしく、ここに来るまでも日本人女子と旅をしてる時に観光地で写真をよく頼まれていた

俺一人だけの時もちょいちょい一緒の写真を頼まれていたが、やはり女の子といる時の方がそういう申し出は増える

特に今回は凄い

やっぱブロンドは人気があるのだろうか?

断る事を知らないブラニーはいちいちそれに対応するものだから中々前に進めない

一人の申し出を受けて一緒に写真を撮っていると、その間に「俺も 俺も」とどんどん下山中登山中のインド人が集まってきていつの間に身動きが取れないくらいに囲まれている

放っておくと他の人の写真に勝手に入ってくる奴、隠し撮りしてる奴、列を抜かす奴、場はどんどん荒れてくる。とはいえこの程度は平和なものである

ひと段落終えて歩き始めると、また写真と話しかけられ、承諾、インド人に囲まれる、終了、また写真と話しかけられ、再び囲まれる・・・前に進めない

このままだと文字通り日が落ちてしまう
頼むから断ってくれブラニー・・・・・

こんな事を繰り返して頂上についたのはなんと2時間後・・・それでもサンセットには間に合ったが、頂上では更なる激しい写真撮影会が繰り広げられる

人気者のブラニー


他にも白人観光客はぱらぱらいたんだけど、なぜか皆ブラニーに寄ってくる。おまけに俺の写真も撮っていくインド人・・・俺はついでか?

頂上に着いてからの数十分に及ぶ写真撮影会、頼んだチャイも冷める頃にようやく一段落できた俺たちはそのまま寺院に入っていった






中は日本の年始の由緒ある寺の中のように人だらけで、汗すらふけない状態。そしてここでもやはり写真撮影会が始る。だから断れって・・・・

そしたら後ろからでかい太鼓をリズミカルに叩きながらオッサンが入ってきた

場は盛り上がり撮影会は一旦中断され、踊るインド人 踊るブラニー 踊る俺

た 楽しい

そして太鼓に合わせて例の言葉「ジャマタギ!!」をリズムカルに刻みだすインド人巡礼者たち

乾いた太鼓の音が夕陽で朱色に染まった山の奥まで響き渡る



人々の歓喜の声 風の音 山の音 沈みかけている太陽からも、夕陽に染まった雲からも、目で見えるあらゆるものから音が聴こえてきたような気がした

世界は常になんらかの音で支配され、そこに生きる生き物達はその音から逃れる事は絶対にできない


いまここに聴こえる音はミニマルなロジックに支配されている






ヒンドゥーの聖地、こじんまりした寺院で巡礼者たちが太鼓のリズムに合わせて踊っている

信仰とは人の心、つまり信じる力の源から成り立っている。だから立派な建物なんて本来必要ないし、逆に俺のように宗教そのものを理解してない人間にとっては無意味なもの

日本で六法全書に記載されている裁判所の意味は、裁判所の建物ではなく、実際に、ある個別的・具体的な訴訟を審理する、1名または数名の裁判官から構成される裁判体のこと

つまり、建物の外で青空裁判をやったって違法ではないのだ

それと同じように、信仰心も建物ではなく、人がここは聖地だと信じれば、その力が強ければ強いほど、数が多ければ多いほど、その聖地は強い意味を、その聖地は力を秘めているのではないかと思う

その場所のひとつがここプシュカル

日もすっかり落ちて暗くなり始めた道を歩き出した。夏祭を途中で抜けてきたように、太鼓の音と人々の歓喜の声が少しずつ遠のいていく

さあ、難しい事考えてないでそろそろリシュケシュに向うか



2013年9月28日土曜日

癒しのプシュカル

プシュカルの町は歩いてまわりきれる程度の小さな町で、ガンガーのある人口湖を囲むように町が形成されている。更にその周りを小さな山と砂漠が扇状に広がっている。

プシュカルはヒンドゥー教の聖地の一つらしく、山の上には寺院、人口湖の周りにはいくつものガンガーが点在していて、昼間は常に誰かが沐浴している

 午前中、昨日友達になったアイリッシュのブラニーと町中の寺院へ行った後、いったん別れて俺はメインストリートの雑貨屋を冷やかしに行った

驚く事にここのインド人はうざくない。値段を尋ねても最初からまともな値段を提示する。その分値引きには余り期待できないが、買い物が面倒くさくない分楽である

メインストリートには女子が好きそうな可愛い小物雑貨からアクセサリーやキルト、カシミヤ専門店にレストランやブックショップ、なんでもあるしそれぞれのクオリティーが高い。そのせいか幾分ツーリスティックなのは否めないが


俺がそうやって話しかけてくるインド人をいちいち相手にしながら一眼を首からぶら下げて歩いていると、サリーを身にまとったインド人女子が自分達の写真を撮ってくれてと言って来た

こういう事はよくあるんだけど、大抵は写真を撮った後小額のルピーを請求してくるパターンが多いから無視してたんだけど、しつこいし金はいらないと言うので一枚だけ撮ってやった

そうしたら金ではなくチャイを請求された・・・・「金は請求しない、だからチャイをおごってくれ」

無視することもできたんだけど、面白いのでチャイをおごってやる。その席で彼女らがある提案をしてきた

なんでも奴らは近くの砂漠でテント暮らしをしている自称砂漠の民族の一種らしくて、もし興味があるようならそこに一緒に行って見学したり写真撮ったりしてはどうかと。もちろんフリーだと

実際砂漠の民の暮らしには興味があったし、金を払ってでも訪れてみたい気持ちはあったけど、誰の目から見てもこの誘いは怪しすぎる。そもそもの出会いがチャイのだまし討ちである

そこで二日後にもう一度会う約束だけしてこの日はここで別れる事にした。もちろん調査が必要だからだ

まず町のレストランで暇そうにたむろしているインド人の一人に話しかけてみた

「へい!ガイズ!!調子はどうだ?」「もちろんグッドだ」

「あれ?お前どっかで見たことあるな」「え?お前この町にどのくらい滞在してるんだ?」

「いや、昨日ついたばっかだけど。お前日本人の友達とか一杯いるか?」すると彼は得意げになって「もちろんさ、俺は日本人の友達が沢山いるぞ 大阪とか東京とかに」

これがインド人の悪い癖だ。数分話しただけで友達に、女性なら勝手に彼女にされてたりするのだ

でも掴みはいい感じ。そこで俺は更に「いやー実は俺の読んでるブログでお前の写真を見た事あるんだよ、しかも日本人女子の」「ほんとか!!なんて書いてあった?正直に教えてくれグッドかバッドか?」

バッドの可能性があるのか?こいつ日本人の女に一体何してきたんだ? 笑

しかしそこは「もちろんグッドだよ!ナイスガイって書いてあったぜ」「ホンとか!!ヨッシャーー」 

よしよし、これで心は完全に掴んだ

いよいよ本題に入るために俺はさっきあった出来事の詳細を伝える

「おーお前それは絶対について行くな、俺はあいつらの事をよく知ってるけど、最後に金を請求するのが奴らの手口だ。やめた方がいいぞ」

やっぱな。最初から金の交渉をして案内してもらって金を払うなら一向に構わないが、だまし討ちのような事をする奴らに払う金は無い。残念だがここは諦めるしか無いようだ
 こいつらが自称砂漠の民


親切なナイスガイに礼を言って、再びブラニーと合流してガンガーを見に行った

ガンガーの入り口には花を無理やり渡して金をせびろうとしてくるインド人がたむろしてるんだけど、そこはバラナシ帰りのブラニー、絶対花を受け取ろうとしない

既に南インドやバラナシ方面を一ヶ月かけて旅してきた彼女はこの手の対応にはかなり慣れている。そんな彼女もやはり寝台列車では散々痴漢と戦ったらしい

「アイリッシュ女は皆強いわ、だから全部追っ払ってやったわ」「確かに強そうだね、日本には痴漢って犯罪があるけど、そっちはどう?」日本での満員電車の現状を説明してやると

ブラニーは「そんな犯罪は成立しないわ。もし誰かが私の体に触ったらその場でひっぱたいて警察に突き出してやるわ。皆そうするはずよ。日本は違うの?」「そういう人もいるけど、殆どの女性が怖くて声すら出せないみたいだよ」

俺がそう言うと彼女は不思議そうな顔をしていた

文化の違いと言うよりは、お国柄の違いだろうか?こういう話を白人とするのは結構面白い

面白いけど疲れる

前にも書いたけど、俺はイングランド人やアイルランド人が苦手。人柄とかではなく英語のアクセント

ヨーロピアンツーリストやアメリカ英語なら言ってる事が理解できないことなんて滅多に無いんだけど、アイリッシュ英語はアクセントが強すぎてちょいちょい理解できないことがあるのだ

その度に聞き返したりするのでお互い段々喋るのが面倒くさくなって、今まであまり仲良くなった事がない

彼女の場合は何回聞きなおしても嫌な顔せずに言い直してくれるし、俺のぶっ壊れた英語でもネイティブなだけあってちゃんと理解できるらしく、意外とコミュニケーションはまともに成立している

それでもやっぱ一日中一緒にいると、夜にはぐったりと疲れてしまうのであった

2013年9月26日木曜日

砂漠の町で目的を見失う

ラジャスターン地区を西へ移動すれば移動するほど気温は上がり湿度が下がる砂漠特有の気候へと変化していった。バスの車窓から見える景色も木を豊富に抱えた野山から、赤土の荒野に変わり、時たま毛の生えた砂丘も見え隠れするようになって来る

ジョードプルから次の町へ、たまたま宿もバスも同じだった英語ペラペラのA君と(名前忘れた)ジャイサルメールへ向う。車内ではお互い日本人宿が苦手と言う話題で盛り上がるも、着いた瞬間に夏の海辺の街頭によって来るような客引きの大群に囲まれ、あっさりと東京パレスと言う日本人宿に落ちるA君であった。あれだけの英語力があるなら日本人宿に泊まる必要なんて無いだろうに。

俺は昼飯だけ東京パレスでとった後、リーズナブルなホテルに移動した

ジャイサルメールはラジャスターン地区の端っこに位置していて、パキスタンの国境から100kしか離れていない

街は今までの街ほどゴミで散らかった様子も無いが、周囲を砂の荒野に囲まれいるため幾分埃っぽい

かつてのパレスを囲むように町が広がっている城塞都市ジャイサルメール

城砦内はツーリスト向けのゲストハウスやみやげ物やが狭い車内で肩をこすり合わせるように所狭しと軒を連ねている



でも、「俺なんでここに来たんだろう?」

宿にチェックインした後に、ジャイサルメールの強い日差しで脳味噌が溶けたのかもしれないけど、こんな疑問が頭をふと過ぎったのだ

殆どのツーリストは砂漠をラクダに乗って周遊するキャメルサファリツアーが目的で来てるみたいだけど、いってきた人の話によると砂漠に毛(草木)がたまに生えてるらしい

その話を聞いた瞬間に興味が一気に失せたし、ツアーも結構高額だったのもあるし、じゃあ何しようかな~って考えるのも面倒くさくなって、次の日にこの町を出るバスのチケットをいつの間にか買っていた

ここで友達になった6日間滞在しているフレンチツーリストの情報だけど、砂漠ツアーの他にも郊外には興味深い遺跡や城砦内はもちろん城砦外にも見所は沢山あるんだとか

実際その通りなんだけど、今更言われても後の祭り、俺は既にプシュカル行きの夜行バスに揺られているんだから

AC無しのバスの窓から入るドライヤーの熱風の様な風も夜になると冷気に変わり、俺は寝台の固いベッドで常にバウンドしながらつまらない本を読んで時間を潰した

いくら寝台つきのバスでもサスペンションがバカになったバスなんかで寝れるはずもない。座席の無いファーストクラスの飛行機に乗ってるようなものだ。寝台に寝転がって頭を下にくっつけようものなら、工事用のドリルで頭をほじくられてる様な衝撃が襲ってくる

そんなバスでゆっくりと寝れるはずも無く、一睡もせずにバスは深夜3時にプシュカルに到着した

最近感覚がちょっとづつ麻痺してきいるのか、一人になると誰に気をつかう必要もないため深夜に着いても怖いと思うことが無い

バスから降りたら宿探しは後回しにして、最近嵌ってる深夜の町中の写真撮影を楽しんでから深夜のチャイ屋でチャイをすする


こんな時間でも宿の客引きが寄ってきて今夜の宿代は無料でいいからと勧誘が始るが、深夜のチャイ屋でチャイをすすりながら怪しいインド人達との会話を楽しみたくて断る。結局日が出るまでチャイをすすりながらぼーっと過ごしてみた

そのまま寝ないで朝食を食べに宿の近くのメインロードに出る。ハンバーガーのような物を店頭販売してるレストランがあるので尋ねてみるとやはり肉なしバーガー。そこで朝食をとる。目の前にブロンドの白人女子が暇そうにコーヒーを飲んでいたので話しかけてみた

彼女の名前はブラニーでアイルランド人。そろそろ一人も退屈してきたし、お互い一人なので暫く行動を共にする事になった。



2013年9月20日金曜日

魔法の言葉

アロワールから次の町ジョードプルまで電車で8時間。今回はこの旅初めての夜行列車を利用した。席のランクはもちろん寝台車両。寝台車両はコンパートメント式になっていて、一つのコンパートメントに3段ベッドがこちらと向いに2式づつあって計6個。ベッドと言っても人が寝るために作られたベッドとは程遠く、硬いマットが敷かれたただのベンチのようなものだ。

前途の通りベッドは3段に別れていて、UP MD LOとそれぞれチケットの記載も変わって来る。

MDの席は通常時は背もたれに収納されており、寝るときだけこれを引き上げて、寝台のベッドにするのである。これを通常時出してしまうと、頭がつかえてしまい、一番下のロウの席に座れなくなってしまうのだ。なぜなら誰も寝てないときは皆LOの席に座っているからだ。もしLOの席の人が早く寝たいなら、座っている人全員にどいてもらうか、上と席を交換してもらうしかない。そういった意味でもLOの席は結構不便だ。

今回は俺がLOの席で連れのマリちゃんがMDの席、つまり俺の上で寝ることにしたのである

俺は特に眠くなかったので、LOにに座ってた他のインド人が皆寝てから横になった。ここの車両の問題点はチケットを持ってなくても誰でも入ってこれるところで、防犯面では皆無に等しかった。だから荷物はパックセーフでグルグル巻きにして、ベッドの下に突っ込んで鍵でしっかり固定。大事なものはパンツの中にぶち込んでおいた。

夜も11時を過ぎると車内は真暗になる。俺はこう見えても結構神経質な方で、音や周りの雰囲気がざわざわしてると全く眠れない。基本的にいくら寝台でもバスや列車の中で1時間以上眠れた験しが無い。Ipodにイヤフォンを繋いで窓から見える無数の星を見上げながらミニマルテクノを聴いていた。

インド人が勝手に俺のベッドに座っている。邪魔臭いし、ライトを俺の方に向けて照らしてなにやら寝てるかどうか窺っている。何をたくらんでいるのかは知らないけど、邪魔臭くて寝返りも打てないので蹴っ飛ばして追い払った。当然である、ここは俺のベッドなのだから

すると追い払われたインド人が今度は俺の上、つまりマリちゃんのベッドに手を掛けてなんかしてる。俺の角度からだとそのインド人が何をしてるかわからない。多少心配ではあった。でも起き上がるのも面倒なんで放っておいた。

1時間経ってもまだそこでもぞもぞ何かやっている、更に1時間も経過するとマリちゃんのベッドに腰掛け始めた。更に放置しておく事数十分そのインド人はどっかに行ってしまった。

あとで本人から話を聞くと、インド人が足をさわさわしてきたので、足をバタバタさせたり日本語で罵声を浴びせたりして戦ってたらしい。俺はイヤフォンをしてたので全く気がつかなく、男ながら特に何の役に立つことも無く、マリちゃんは自分で痴漢インド人を追い払ったとの事でした。むしろ俺がインド人を自分のベッドから追い払ったからこうなったのか?外患誘致という奴だな うん

あとで友達になった一人で旅してる日本人や白人女子に聞いたんだけど、みんな夜行列車で同じ経験をしてるのだとか。なかには起きたらインド人が胸を揉んでいたという人もいた位だ。

女性一人にはお勧めできない夜行列車。どうしても避けられないなら、一番上のアッパーの寝台がいいかもしれない。一番上だと下からは見えないので、女性が寝てるかどうかわからない。トイレに行ったりするのにいちいち降りるのが大変だけど。それか寝台のファーストクラスを予約すればいいだろう。ファーストクラスはコンパートメントにドアがあって中から鍵をかけられるようになっているらしい

殆ど睡眠もとれずにそのままジョードプルに到着。まだ真暗だったので駅の待合室で3時間ほど時間を潰して外に出た

早速客引きが寄ってくる。俺たちの目の前にいきなり立ちはだかり、「ブレックファーストはどうだ??サンドイッチあるぞ!!安いぞ!!腹減ってるだろ??さあこっちだ」と進行方向に立ちはだかり邪魔をしてくる

そこで最近覚えたヒンドゥー語「俺たちはタンタンゴーパールだ!!飯なんて食えん」というと、オッサンは急に笑い出して、周りのインド人「お前ら聞いたか?こいつタンタンゴーパールだってよ ははははh」と周りを巻き込んで大笑いしながら、じゃあ気をつけてなと一言言って去っていった

同様によってきたリキシャにもタンタンゴーパールだと叫ぶと笑いながら去っていく

タンタンゴーパール 客引きを追い払うのにとても便利な言葉。しかも相手を怒らすことも無く、むしろ和んでしまう魔法の言葉

そのまま安宿が沢山ある街のシンボル時計台がある広場まで歩いた。実はあまり知られていないがこの街は大人気漫画ワンピースに登場するアラバスタ王国のモデルとなった街らしいのだ

これが例の時計塔広場の時計塔


そしてこれがナンバー4として登場した砲撃犬ラッシー

 街のシンボルメヘランガー砦の中に展示されてます

時計台広場にはコミッション目当ての宿の紹介屋が沢山いるけど、それを無視して今回は地球の歩き方に載っている宿ディスカバリーゲストハウスに真っ直ぐ向ってチェックイン

値段交渉する際もタンタンゴーパールというと笑いながら値下げに応じてくれた

宿からのビュー
眼下に広がる空を映した湖のようなブルーシティーにメヘランガー砦

ちなに今回宿泊したゲストハウスディスカバリー。地球の歩き方に載っているからって安心してはいけない。ここのオーナーはとてつもなく金に汚く嘘ばっかつく最低のインド人。詳しくは書かないけど泊まるのは避けるべし

翌日マリちゃんが風邪をひき病院へ連れて行く。連れて行くといっても実際はただついて行っただけだ。と、いうのも今回で誰かを海外で病院へ連れて行くのは4回目。医者との英語のやりとりにも大分慣れているから俺がさぞ必要だろうと思って付いていってやったつもりでいたのだが、実際は全部本人が自分で病状を説明して、医師とのやり取りを済ませて、俺はipodでデビッドボウイを聴いてボーっとしてただけなのであった。ここでも役に立たず 

しかも次の日は俺が腹痛に倒れ、俺の代わりにナイスな薬を買ってきてくれて、助けられっぱなしであった

実は数日に前飲んだブランデーとチャイの飲み合わせが悪かったせいかそれ以降胃の調子がずっと悪くて食欲不振。 体もだるくどんどん腹の調子も悪くなって、終にここに来て完全に腹を壊すにいたったのだ。そのお陰で一週間近く食欲がなく、毎日トマトスープとラッシーをすするだけの生活だったのだ。

おまけにラジャスターン地区の食事はとてつもなく不味く、それも食欲不振を手伝ったのかも知れない。

インドでは肉を食べるのはとても贅沢な事で、普通のレストランで肉料理をおいていることなんてまず無い。とくにここラジャスターン地区ではその傾向が強いらしくて、ベジタリアンにならざるを得ないのだ。

俺は何も意識してないのに、インドに入ってから3週間、気がついたら全く肉を口にしていなかったのだ。それも生きている

 メヘランガー砦からの夜景
夜のインドの街中が好きだ

汚いものは見えなくなり、うざいインド人も町から消えて街灯とわずかな月明かり、そして静寂だけが町を支配する。治安の面では保障できないが、男の俺にはあまり関係ない

それから数日後デリーから一緒だったマリちゃんは、でっかすぎるうんこを置き土産として宿に残してジャイサルメールへと一足先に去っていった

その日は宿中の配水管がつまり、汚水がトイレから溢れ出し、大変だったのは言うまでもない

ちなみにタンタンゴーパールという魔法の言葉

これは日本語に訳すと「一文無し」といういみ。ただお金がありませんじゃなくて、ニュアンス的には一文無しという強烈な言葉の力を秘めている

 

2013年9月17日火曜日

強烈にしつこいインド人

アグラーから鉄道で約6時間の移動でジャイプルへ。駅から出た瞬間にまたこれかと思わせるゴミと糞と悪臭に太陽の眩しさが加わって頭がくらっとする。

駅にたむろしてるリキシャやその他もろもろの客引きを振り切って安宿街まで歩く。約3キロをウンコを避け、前から来るウザイインド人を交しつつ後ろから車に轢かれない様に気をつけながら、丘を越えキノコを手に入れクッパを倒してピーチ姫を救って、キノコの国に平和を取り戻して、残りいっきの状態でようやく安宿街にたどりついた

チェックインを済ませ、早速ピンクシティーと呼ばれている街の中心街へ向った

 メインストリートから大きな門をくぐると、建物の雰囲気がガラッと変わり、ツチ壁のように濃い茶色に塗られた建物が整然と並ぶピンクシティーに入った。ピンクと言うよりは茶色いけど


 これが街のシンボルとなっている風の宮殿。表からみるととても立派だが裏に回るとただの張りぼて。風の宮殿というよりは風の板。強風が吹いたらバッタリと倒れそう・・・・

この建物の周りは要注意である。この辺をぶらついているとウザイインド人が話しかけてきて、もっといい写真のポイントに連れてってやる、もちろん無料で入れるなどと観光客を連れて行って、最後にガイド料を請求してくるらしい。

俺たちはその情報を連れのマリちゃんがあっさりとナンパに引っ掛けられたイケ面でウザクないインド人から仕入れていたのでそう言ったトラブルは避けられた

張りぼての裏にまわると板の中に入れるんだけど結構高額な 入場料がかかる。そこでうろうろしてるとまた一人のインド人の自称学生となのる男が話しかけてきて、お金を払わなくても俺の店から建物に無料で入れるぞ、案内してやる代わりに俺の店を見ていってくれないか?もちろん気に入らなければ買わなくていいからと申し出てきた

存分に警戒しながらも俺はこの男の申し出を承諾して彼についていった

彼が案内した先は丁度建物の裏に位置していて、店というよりは倉庫。その薄暗い中には所狭しと商品が積み上げてあって、俺たち2人はその中に案内された。なんとなく怪しさを感じ警戒しながらも中に入る。男は冷たい飲み物を持ってくると言って俺たちからオーダーを取ると一旦部屋を出ようとしたので、俺は表のドアを閉めようとしたらいつでも蹴破れるように構えていたんだけどそれは杞憂に終わった

飲み物が来た後男は早速商売を始めた。棚から色んな物を取り出して商品の説明を始めるが、俺が興味無さそうにしてるのをいち早く察したのか、ターゲットをマリちゃんに絞って商品の熱弁を始める

マリちゃんも興味無さそうだが、人がいいのか男の話をしっかりと聞いてやってるせいか火を打って鍛えてる刀のように男の熱弁はヒートアップするばかり

熱弁の末ばら撒きに便利そうなインド風の装飾が施されたボールペン10本くらいの詰め合わせを100ルピーで買ってやってた。これは安いとは思ったけど、向こうも利益が殆どないのか不満そうな顔をのこしつつもようやく諦めてくれた。

その後男は約束どおり風の神殿の裏側に案内してくれた。マリちゃんの腕に入っているヘナタトゥーを見るなり、自分の知り合いで安くできる人を紹介できると言ってきたので、俺たちはまた次の日この男の下を訪れることになった

次の日は街の郊外にある砦と風の神殿の近くにあるジャンタルマンタと呼ばれるちょっと風変わりな遺跡を訪れる予定で、その前に例の男のところでヘナをやる予定であった の だが

男のもとを再び訪れると、今からタトゥーアーティストを呼ぶから来る間自分の親戚の店で待とう、クーラーもあるし飲み物も出すから

もちろんそこでも商売をする気なのは分かっていたが、断る理由もないしなによりもラジャスターンエリアの砂漠の気候にやられてた俺はクーラーの魅力に勝てずについていった

店に入ると案の定そこにはインドの伝統刺繍のキルトや布団カバー、ストールなどの商品が所狭しと並んでいた。やめとけばいいのにマリちゃんは棚に乗ってる商品をいじりだすものだから早速商売が始った。

昨日と全く同じパーン・・・15分もするとタトゥーアーティストが到着。ここで一旦熱弁は止まるが今度はタトゥーアーティスの押し売りが始る。本人は腕だけでいいって言ってるのに、何故か体中をヘナタトゥーだらけにしたがるアーティスト。インド人うざっ・・・・・

ヘナが終わった後再び熱弁が繰り広げられた。ターゲットはもちろん俺ではなくマリちゃん

本当に欲しいのかどうかは知らないが結構真面目に聞いている。一時間くらいほっといたらいつの間にか鍋引きのような物を650ルピーで買ってたし・・・・本人曰く日本で買うと数千円はするのだとか。俺には鍋引きにしか見えないけど。ちなみに650ルピーは1000円くらい

他にもストールなども買ってたみたいで、結局1000ルピー以上を消費してた模様。1000ルピーあれば二日生活できます

そして店を出るとき、俺の手の中にも一本のストールが握り締められていた。俺のは安いものだけど、結局こいつらのしつこさにより、いつの間にか買い物をしていた俺

別に2人とも無理やり買わされたとか、騙されたと言う訳ではないし、俺にかんして言えば絶対になんも買ってやらないぞってつもりで入っていっただけに、なんだかやられた感があるのは否めない

インド人恐るべし!!

結局こいつらのペースにいつの間にかどっぷり嵌って、二つの観光をする時間が無くなってしまい、郊外にある砦だけ行く事になった

 西日に茶色く染まった砦に鳥の群れたちが落とす影が美しかった

翌日朝の電車でジャイプルから2時間のアロワールという街に向った

アロワールの中心街は狭い道にも関わらず交通量が多く騒然としていて、やはり牛とゴミがそこら辺に転がってる汚い町だが、中心街から少し離れると山に囲まれた美しい町並みが広がる田舎町



 観光地ではないためインド人もただ人懐っこいだけでウザクはない

特に何かあるわけじゃないけど目の前に山があるので登ってみようという事で、登山口を探してうろうろしていると、山の裾にある建物から集会でもあったのかインド人が大量にあふれ出てきて、そのうちの一人の小太りなインド人が何処へいくのかと話しかけてきた

俺が目の前の山に登りたいんだと言うとこっちじゃないぞと教えてくれた。そして一緒にいる女はお前の嫁か?と聞かれたのでそうでは無いと言った途端にマリちゃんの方にいって、「よし、俺が案内しやる、バイクも車もあるぞ どっちかがいいんだ?」と急にベタベタしようとしだした

本人はあっさりと普通に断り、男も諦めたまではいいが、別れ際にドサクサに紛れてキスしようとしてマリちゃん速攻で振りほどき逃走・・・・男は後ろかタダの挨拶じゃないか、チューさせろー!!と怒鳴っていたが、嘘をつくな

インドでは気軽に女性に触るのは憚られる。ただしそれはインド人同士の話であって、外国人の女なら何しても構わないと思っているやつが少なからずいるのも事実なのである

バカ男を後ろに教えてもらった情報は正しかったので、登山口を目指して山の後ろの方にまわり込む。すると子供が自転車で追いかけてきて何か言ってるが、ヒンディー語なのでわからないから笑顔で無視してそのまま歩き続けた。

すると今度はもう少し大きな子供が追いかけてきて、その先は行くな。何故か尋ねると強盗が出るとのことであった。そういえばさっき道を尋ねたインド人も山へ続く道は森だから危ないぞと警告してきたのを思い出した。なぜ危ないか教えてくれれば良かったのに・・・・

来た道を引き返していると、反対側から一台のピカピカの車が俺たちの目の前で止まり、中から降りてきたのはさっきのバカ男だった

「ヘイ タクシー持って来たぞ もちろんお前はフリーだ 山の上まで連れってやる さあ早く乗れ!!」 やる気まんまんである し しつこい・・・・

俺たちが無視して歩いていると、バカ男も後ろからついて来てなんとか車に乗せようと詰め寄ってくる。その声はもっぱら俺に向けられているものではないのは明らかであった

俺がもしこの車にマリちゃんだけ乗ってたらどうなるのか?ちょっと乗ってくれないかな?なんて思いなが歩いていたのは秘密である

挙句の果てにはまりちゃんに向け「only you only you 君だけを乗せるよ~」と調子に乗り出した。っていうか俺は無視か?俺は乗せないのか?このエロバカインド人

役10分ほど俺たちに付きまとったインド人もようやく諦めたのか、いつの間にかいなくなっていた

しかし、その5分後に今度は乗り物をバイクに変え再び俺たちの前に現れた

「へい バイク持って来たぜ これならいいだろ? さあ乗れよ」・・・・まじ腹痛いんですけど

笑ったら負けだが笑いをこらえられない

コイツは一体何がしたいんだ?

もう諦めてバイクに乗ってくれないなって?心の中で思っていたことは秘密である。





2013年9月14日土曜日

インドの列車 to Agra

発車五分前のチケットを買った俺たちは、特に急ぐ事もなくのんびりとホームまで行って電車に乗り込んだ。インドの列車は数時間遅れが当たり前だと思っていたからだ

しかし、列車は新入社員のぴったり合わされた時計のように時間通りに出発した

インドの列車は未だにきちんとは把握できてないんだけど7種類前後の席が存在する

寝台やACが付いてるかどうか、席のレベルや指定席など様々なチケットがある

俺たちが今回購入したのはその中でも下から2番目に安いチケット

席はあるけど一番レベルが低い3人掛けの横並びの席

一番高い席とは10倍近い値段の差があるらしいけど、今回は乗ってる時間も短いのでこれで十分だと思った

 俺たちは列車に乗った後すぐに指定の席を見つけて座った。列車はすぐに発車した。列車は発車すると食道に腫瘍でもできた患者のようにのろのろと、しかし、着実に前に進みだした

数駅も通過すると車内はあっという間に満員御礼。全席指定席な筈なのに座れずに通路に立っている客があちこちいる。その客が3人掛けの席に無理やり座り始めても誰も文句を言わない

俺たちの席にも座ろうとして横にずれろといってきた奴がいたが、言葉がわからない不利をしてたら諦めて去っていった

席はコンパートメントになっていて、3人掛けのベンチが向かい合っている。客が自分の向かいに座っていない時は足を向いのベンチに乗せてくつろぐ。向かいに誰か座ろうとしているとどかしてやる。

しかし、隣のインド人は一度どかしたものの、向いの乗客が着席した後、相手の股のきわどいところに再び足を戻した

きわどい所に足を置かれたインド人は一切気にする様子をみせない

なるほどこれがインド式か?

俺も目の前に座っているインド人の股のきわどい所に足を置いてみた。すると彼は俺の足を見るなりまぶたをぴっくっと動かしてこちらをみた。やはり外人のこういった行為は彼等にとって好ましくないのかと思ったが、次の瞬間右手が伸びてきて一言「ヘイマイフレンド」と握手を求められてとてもご満悦な様子である

これがインド式

いつの間にか隣に座っていた連れはインド人の若い集団とカードゲームに興じて盛り上がっていた。俺は向いに座ったインド人と会話をしていたが、内容は殆どがインドに対する愚痴。

たまに車内を通りかかる売り子から買うチャイがうまい。一杯7ルピー前後。器は陶器でできていて飲み終わると窓から外に放り投げる。放り投げられた陶器の器は夏風にそよぐ風鈴のようにパリンといい音がなって気持ちがいい。

インドでゴミをポイ捨てするのは当たり前。俺も連れのマリちゃんも車内からゴミをほいほい放り投げる。郷に入れば郷に従えなんて言い訳はしない。例えインド人が当たり前の様にやってるからってやはりゴミを公共の場に捨てるのはクズのやる事である。しかし、よくよく考えると、俺たちは生まれつきのクズである。だからぽ~い あ~~気持ちいい ポイ捨て

自分がクズじゃないと思う人は、例えインドに来てもゴミのポイ捨ては控えましょう

気がつくと我々はインド人に囲まれていた。戦場で四方八方から飛んでくる銃弾のような質問。写真を撮ってくれとせがむインド人。ただただ会話を熱望するインド人。色んなやつに囲まれて飽きることがない。これが一番安いチケットの面白みかもしれない。

長い時間だと飽きるけど、数時間なら彼らのうざさのお陰であっという間に時間が過ぎる

そう、時間の長さを感じることる頃には既にアーグラーの地に足をめり込ませていたのだ


 一番安い席には扇風機が無数にあるが、あまり意味がない

暑いときは暑いし、寒いときは寒いのだ



説明しなくてもわかると思うけどタージマハル


宿泊した宿のボスに言われた。「お前を来た時からずっと見てたけど、お前はなぜ誰も信用しようとしないんだ」

俺はここはインドなのだから当たり前だと言ったらお前の国にもヤクザがいるだろうと言われた。完全に話のポイントがずれている。理由を不得意な英語で丁寧に説明したのだが、きちんとは理解してもらえない。インド人だからって理由だけで疑ってかかるのが彼には気に入らないようだ。

前にも書いたけど、人を疑うのは簡単だけど信じる事はとても難しい

彼にはそれだけ英語で言って納得してもらった



2013年9月9日月曜日

やっぱりうざいインド


土ぼこりと光化学スモッグが空を多い、小便と何かが腐った腐敗臭が交じり合い、道のそこかしこで正体不明の七色の液体が亀裂の入った水道管から水が漏れるように町中の道に這い出している

想像通り汚く不衛生で臭いデリーの街中。むしろ臭くて鼻が曲がってくれた方が今後のためにいい。これでは町全体がゴミ集積所である

俺はこの町でカンボジアで知り合ったクズのような友達と合流するために3日間一人で滞在して、街を観光したんだけど、特段変わった物も無く、変わったことも起らなかった

しかし、これが嵐の前の静けさだとはこの時はまだ知る由もしなかったのである

4日目の昼過ぎに待ち合わせ場所に指定していた俺の宿に相変わらずクズのマリちゃんが到着

その足でそのままタージマハルで有名なアーグラーに行く事にした

出発前に宿の近くの路地にあるカレー屋で少し遅めのランチ。ターリーと呼ばれるカレー定食のようなものを頼む。値段は65ルピー(1ルピー=1.5円)、量は多すぎで味は日本のインド料理店とかわらない。つまり美味しいという事だ。他に付け合せのきゅうりの輪切りをつまみながらラッシーを飲む

店を出るとき、やる事のない暇そうな従業員の一人がキュウリを子供が粘土で遊ぶみたいに遠くの方を見るようなうつろな目をしてこねくり回していた。所謂手いたずらというやつだろうか?そのキュウリを俺はさっきまでせっせと胃袋に運んでいたという事になるのだろう

食後にラッシー屋でラッシーを飲んで胃袋でこねくり回されたキュウリと軌跡の合体を果たしたあと、俺たちはニューデリー駅に向った。ニューデリー駅に向って真っ直ぐ歩いていると、横からいろんな奴が話しかけてくる。こいつらを一度相手にすると終わりの無い話が始りいつの間にか何かを買わされているなんて事はよくある話だ

だからデリーに着いたら慣れていなくても2時間もすればこの手の輩を相手にする観光客はいなくなる。それがわかっていても無視できない時もあるのだ

俺たちが話しかけてくるインド人を徹底的に無視して歩いていると、横の方から日本語で「かわいいね~」と聞こえてきた
、すかさず嬉しそうな顔をして声のした方向を見るマリちゃん、しかし、次に飛んできた声は「ちょっとだけかわいいね~」   ぷっ

意味を知ってて使っているのかどうかは知らないが、面白い。こういうのは笑ったら負けで、笑わしたら勝ちなのである

駅に着くと早速切符売り場はそっちじゃないといってくる偽鉄道員を無視して切符売り場に真っ直ぐ向うも人が沢山並んでるし、買い方もよく分からないので、2Fにある外国人専用カウンターに向った

ゲートをくぐるとまた本物か偽者かわからない自称鉄道員が今度は身分証明書を提示してきたが、 そんな事をされると余計に怪しい

一応話だけ聞くと電車の時間と俺たちが希望した時間のチケットはここでは買えないと言い出した

完璧に信用したわけでもないけど、自分達でカウンター探したり切符を手配したりするのが面倒くさくて、なんとなく楽な方に流されていたような気がする

それで切符を買えるところを案内してやるから、外で待機しているオートリキシャに乗れ、外で捕まえると高いぞと言うのだが、さすがにそこまでは信用できないし、オートリキシャはターミナルで捕まえたほうが高いのは世界の常識だ

そこでとに角この怪しい連中を振り払って、切符を買えるところまで自分達だけで言ってみて話を聞いてみようという事になったんだが、うしろからいつまでも喋りながらついて来る

しばらくして諦めたかと思うとなんと後ろからボールペンが飛んできた

やはりろくでもないツアーカンパニーの手下だろうと思っていたら、今度は俺の頭にぼこっと何かが当たった

自分の足元を見てみると、マリオカートでお馴染みのバナナの皮がまるでそこにあるのが当たり前のように転がっているではないか

すかさず飛んできた方を見るが10人近いインド人がこちらを見ていて誰がやったかわからないので、仕返しができない

いつもなら光ファイバー並みの速さで頭に血が登って、頭蓋骨と頭皮を間欠泉のように突き破って血が噴出すくらい怒り狂うと思うのだが、今回は暑くて弱っているのと、飛んできたのがバナナの皮?という事もあり、俺の怒りは苦すぎるコーヒーに砂糖を入れて中和するようにじんわりと冷めてしまった

そのあともあたりはしないものの、後ろからトウモロコシやら石などが転がってきた

それだけ自分達で連れて行けなかったのが悔しかったのだろう

俺はたちは疑心暗鬼ながらも言われたチケットセンターに行って見たらやはりというか、安の状ツアーカンパニーだった

それでも折角来たんだから、一応話だけは聞いてみようと思って、アーグラーまでのチケットの値段を聞いてみた

すると聞いてもいないジャイサルメールというとこまでの往復のチケットを勧めようとしたので、無視してもう一度アーグラーまでのチケットを売れ、売る気が無いなら買える旨を伝えると550ルピーだという

これは難しい価格である

インドの列車の席は7段階くらいの席があって、こいつが売れるのは中くらいの席だけでコミッションも含まれてることを考えると決して高くはない。はなからここはボッタクリカンパニーだと決め付けて話していただけにこれには意表をつかれた

しかし一番安いチケットを80ルピーで買えると知っていた俺たちは買う気にはなれなかった。その値段では買う気になれないことを告げると、そそくさと店を後にしたが、特に俺たちを引き止める様子も無かった

外に出て身なりのいいインド人に話しかけて、もう一度切符は何処で買えるのか聞いた。彼は切符は駅で買うに決まってるだろ、世界何処でもそうだろ?なんでこんなとこ来たんだ??

ごもっともなご意見。俺たちは駅まで戻った。俺たちは疲れていた。うざいインド人を一日中相手にして、糞暑い中あっちいったりこっちいったり、たらいどころか大なべで一日中炒られている豆のように。もうアーグラーに行く事なんてどうでも良かった。俺はただチケットが欲しかっただけで、アーグラーに行きたいわけではなかった。チケットを手に入れるミッションを成功させたかっただけ

駅にもどると今度は一階の現地人用のカウンターに行ってアーグラー行きを告げる

ここでもあちこちのカウンターをパチンコだまのように飛ばされて、真面目に並んでいるとインド人が当たり前の様な顔をして割り込んでくる

だから俺も最近覚えたインド式割り込みを実践して、いきなり一番前に並んでいる人の前に無理やり腕を押し込んで割り込んでみたが、誰も俺をとがめる事はない。そう、ここで割り込むのは悪い事ではないのだ

割り込まれて文句を言うくらいなら、割り込み方を覚えたほうがよほど建設的である

こうして2時間の奮闘のもと80ルピーのチケットを2枚手に入れました

ほんとインドはうざいっす

ちなみに日本の学生は殆どが500以上のチケットをうっかり買わされてるらしい

それも知らなければ騙されたうちには入らないけど、そんな奴がいたら俺たちは一人残らず80ルピーで買ったことを教えてまわってます


ニューデリーをぶらついたときの写真