土ぼこりと光化学スモッグが空を多い、小便と何かが腐った腐敗臭が交じり合い、道のそこかしこで正体不明の七色の液体が亀裂の入った水道管から水が漏れるように町中の道に這い出している
想像通り汚く不衛生で臭いデリーの街中。むしろ臭くて鼻が曲がってくれた方が今後のためにいい。これでは町全体がゴミ集積所である
俺はこの町でカンボジアで知り合ったクズのような友達と合流するために3日間一人で滞在して、街を観光したんだけど、特段変わった物も無く、変わったことも起らなかった
しかし、これが嵐の前の静けさだとはこの時はまだ知る由もしなかったのである
4日目の昼過ぎに待ち合わせ場所に指定していた俺の宿に相変わらずクズのマリちゃんが到着
その足でそのままタージマハルで有名なアーグラーに行く事にした
出発前に宿の近くの路地にあるカレー屋で少し遅めのランチ。ターリーと呼ばれるカレー定食のようなものを頼む。値段は65ルピー(1ルピー=1.5円)、量は多すぎで味は日本のインド料理店とかわらない。つまり美味しいという事だ。他に付け合せのきゅうりの輪切りをつまみながらラッシーを飲む
店を出るとき、やる事のない暇そうな従業員の一人がキュウリを子供が粘土で遊ぶみたいに遠くの方を見るようなうつろな目をしてこねくり回していた。所謂手いたずらというやつだろうか?そのキュウリを俺はさっきまでせっせと胃袋に運んでいたという事になるのだろう
食後にラッシー屋でラッシーを飲んで胃袋でこねくり回されたキュウリと軌跡の合体を果たしたあと、俺たちはニューデリー駅に向った。ニューデリー駅に向って真っ直ぐ歩いていると、横からいろんな奴が話しかけてくる。こいつらを一度相手にすると終わりの無い話が始りいつの間にか何かを買わされているなんて事はよくある話だ
だからデリーに着いたら慣れていなくても2時間もすればこの手の輩を相手にする観光客はいなくなる。それがわかっていても無視できない時もあるのだ
俺たちが話しかけてくるインド人を徹底的に無視して歩いていると、横の方から日本語で「かわいいね~」と聞こえてきた
、すかさず嬉しそうな顔をして声のした方向を見るマリちゃん、しかし、次に飛んできた声は「ちょっとだけかわいいね~」 ぷっ
意味を知ってて使っているのかどうかは知らないが、面白い。こういうのは笑ったら負けで、笑わしたら勝ちなのである
駅に着くと早速切符売り場はそっちじゃないといってくる偽鉄道員を無視して切符売り場に真っ直ぐ向うも人が沢山並んでるし、買い方もよく分からないので、2Fにある外国人専用カウンターに向った
ゲートをくぐるとまた本物か偽者かわからない自称鉄道員が今度は身分証明書を提示してきたが、 そんな事をされると余計に怪しい
一応話だけ聞くと電車の時間と俺たちが希望した時間のチケットはここでは買えないと言い出した
完璧に信用したわけでもないけど、自分達でカウンター探したり切符を手配したりするのが面倒くさくて、なんとなく楽な方に流されていたような気がする
それで切符を買えるところを案内してやるから、外で待機しているオートリキシャに乗れ、外で捕まえると高いぞと言うのだが、さすがにそこまでは信用できないし、オートリキシャはターミナルで捕まえたほうが高いのは世界の常識だ
そこでとに角この怪しい連中を振り払って、切符を買えるところまで自分達だけで言ってみて話を聞いてみようという事になったんだが、うしろからいつまでも喋りながらついて来る
しばらくして諦めたかと思うとなんと後ろからボールペンが飛んできた
やはりろくでもないツアーカンパニーの手下だろうと思っていたら、今度は俺の頭にぼこっと何かが当たった
自分の足元を見てみると、マリオカートでお馴染みのバナナの皮がまるでそこにあるのが当たり前のように転がっているではないか
すかさず飛んできた方を見るが10人近いインド人がこちらを見ていて誰がやったかわからないので、仕返しができない
いつもなら光ファイバー並みの速さで頭に血が登って、頭蓋骨と頭皮を間欠泉のように突き破って血が噴出すくらい怒り狂うと思うのだが、今回は暑くて弱っているのと、飛んできたのがバナナの皮?という事もあり、俺の怒りは苦すぎるコーヒーに砂糖を入れて中和するようにじんわりと冷めてしまった
そのあともあたりはしないものの、後ろからトウモロコシやら石などが転がってきた
それだけ自分達で連れて行けなかったのが悔しかったのだろう
俺はたちは疑心暗鬼ながらも言われたチケットセンターに行って見たらやはりというか、安の状ツアーカンパニーだった
それでも折角来たんだから、一応話だけは聞いてみようと思って、アーグラーまでのチケットの値段を聞いてみた
すると聞いてもいないジャイサルメールというとこまでの往復のチケットを勧めようとしたので、無視してもう一度アーグラーまでのチケットを売れ、売る気が無いなら買える旨を伝えると550ルピーだという
これは難しい価格である
インドの列車の席は7段階くらいの席があって、こいつが売れるのは中くらいの席だけでコミッションも含まれてることを考えると決して高くはない。はなからここはボッタクリカンパニーだと決め付けて話していただけにこれには意表をつかれた
しかし一番安いチケットを80ルピーで買えると知っていた俺たちは買う気にはなれなかった。その値段では買う気になれないことを告げると、そそくさと店を後にしたが、特に俺たちを引き止める様子も無かった
外に出て身なりのいいインド人に話しかけて、もう一度切符は何処で買えるのか聞いた。彼は切符は駅で買うに決まってるだろ、世界何処でもそうだろ?なんでこんなとこ来たんだ??
ごもっともなご意見。俺たちは駅まで戻った。俺たちは疲れていた。うざいインド人を一日中相手にして、糞暑い中あっちいったりこっちいったり、たらいどころか大なべで一日中炒られている豆のように。もうアーグラーに行く事なんてどうでも良かった。俺はただチケットが欲しかっただけで、アーグラーに行きたいわけではなかった。チケットを手に入れるミッションを成功させたかっただけ
駅にもどると今度は一階の現地人用のカウンターに行ってアーグラー行きを告げる
ここでもあちこちのカウンターをパチンコだまのように飛ばされて、真面目に並んでいるとインド人が当たり前の様な顔をして割り込んでくる
だから俺も最近覚えたインド式割り込みを実践して、いきなり一番前に並んでいる人の前に無理やり腕を押し込んで割り込んでみたが、誰も俺をとがめる事はない。そう、ここで割り込むのは悪い事ではないのだ
割り込まれて文句を言うくらいなら、割り込み方を覚えたほうがよほど建設的である
こうして2時間の奮闘のもと80ルピーのチケットを2枚手に入れました
ほんとインドはうざいっす
ちなみに日本の学生は殆どが500以上のチケットをうっかり買わされてるらしい
それも知らなければ騙されたうちには入らないけど、そんな奴がいたら俺たちは一人残らず80ルピーで買ったことを教えてまわってます
ニューデリーをぶらついたときの写真
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